スポーツ整形外科

スポーツによる繰り返しの負担で生じるスポーツ障害と、スポーツ中の怪我に当たるスポーツ外傷に分けられます。

●スポーツ障害

▼野球肘
エコー、レントゲン、MRIなどで診断します。病態により、適切な治療を行わないと生涯にわたる肘の障害を生じる可能性もあります。痛みが軽度の例も多く、違和感程度の症状でも続く場合は早めの受診をお勧めします。再受傷予防のためのリハビリテーションも重要です。下肢から体幹も含めて評価を行い、肘に負担のかかる投球フォームの見直しを行います。

 

▼投球肩障害
エコー、レントゲン、MRIなどで診断します。10代前半では上腕骨の骨端離開(成長の完成していない骨に存在する軟骨部分での損傷)が多く、10代後半以降は周囲の筋などの軟部組織の損傷が多くなります。肘同様、リハビリテーションが重要です。 

 

▼上腕骨外側上顆炎(テニス肘)
手関節を動かす筋の付着部である、肘外側部の痛みが生じます。手関節への負担が原因です。ストレッチ、装具、注射、衝撃波などで治療します。

 

▼疲労骨折
繰り返しの外力で生じる骨折です。下腿、足部に多く、オーバートレーニング、筋力や技術の不足などが原因となります。初期にはレントゲンでの評価が困難であり、時間をおいてのレントゲン撮影や、エコー・MRIなどで診断します。

 

▼腰椎分離症
成長期に生じる腰の骨の疲労骨折です。初期の段階であれば、コルセットで癒合が望めます。分離が完成し癒合が望めない状態では、リハビリテーションを中心に周囲の補強を行います。初期の痛みは軽微、短期の安静で改善することも多く、適切な評価が重要となります。 

 

▼シンスプリント
下腿の筋付着部の痛みで、ランニングが原因となることが多いです。ストレッチングやランニングフォームの見直しが重要です。

 

▼ジャンパー膝
ジャンプの繰り返しにより、膝の筋付着部の痛みを生じます。ストレッチング、衝撃波などで治療を行います。

 

●スポーツ外傷

▼足関節捻挫
足首をひねって痛めた状態です。重症度により、装具固定やギプス固定を行います。特に運動選手では、早期復帰・再受傷予防のためのリハビリテーションを行います。

 

▼膝関節靭帯損傷
膝関節は骨による安定性が弱く、靱帯の重要性が高い関節です。とくに関節内に走行する前十字靱帯損傷を生じた場合は手術の適応となることが多く、適切な評価が重要となります。クッションの役割を担う半月板の損傷にも注意が必要です。

 

▼アキレス腱断裂
30~50代に多く生じ、踏み込んだときや走ったときに突然下腿後面の痛みを生じます。手術治療が一般的ですが、適切な評価・管理を行うことで手術をせずに治療することも可能です。

 

▼肉離れ
ダッシュ、ジャンプなどの急激な動きで生じる筋の断裂であり、主に大腿後面、下腿後面の筋に生じます。重症度により、数週で改善するものから3か月以上かかるものまであり、初期の評価とリハビリテーションが重要となります。

▼いわゆる“つき指”
つき指にも病態は様々で、骨、靱帯、腱などの損傷が生じます。テーピング、固定具の使用で治療するものから、手術を要するものまであります。漫然と長期の固定を行うことは指の機能を落とすことにつながるため、適切な管理を要します。